【木曜レビュー】アダムとイヴの林檎 / 椎名林檎トリビュートを聴いて
椎名林檎デビュー20周年記念作品 第一弾である、トリビュートアルバムを聴いた。
"音楽家"椎名林檎の曲をカバーということで、全曲スタイリッシュに洗練されていた。
一曲ずつレビューする。
1. 正しい街 / theウラシマ'S
theウラシマ’S - 正しい街 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
Produced by 亀田誠治
Vo. 草野マサムネ from SPITZ
Dr. 鈴木英哉 from Mr.Children
Gt. 喜多建介 from ASIAN KUNG-FU GENERATION
Ba. 是永亮祐 from 雨のパレード
豪華なメンバー編成の曲。ボーカルの切ない声と、焦燥感のある油断したら走りそうなミドルテンポ。アルバムの幕開けにふさわしかった。
色んなアイディアがあったでろうアレンジを、極限にまでそぎ落としたのだろうなという、シンプルでアダルトな一曲。
夜中が終わり、薄暗い早朝の始まりに聴きたい。
3.幸福論 / レキシ
レキシ - 幸福論 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
ホーンが機嫌良く鳴るさらっとしたダンスナンバー。小気味よく腰を横に振ってしまうリズム。
ラブコメ作品のエンディングで、キャストが踊ってそうなイメージ。
4.シドと白昼夢 / MIKA
MIKA - シドと白昼夢 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
立派なボサノバ楽曲になった。クレモンティーヌを思い出させる、男性裏声ボーカルボーカルに、白昼夢の中にいるかのような世界観に浸れる。
「あなたには殺されてもいいわ」感がない。綺麗。
5.茜さす帰路照らされど・・/ 藤原さくら
藤原さくら – 茜さす帰路照らされど・・(椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
ピアノとストリングスと打ち込みのリズムの気持ち良いところに、ふわふわとした可愛らしい歌声が合う。
6.都合のいい身体 / 田島貴男(ORIGINAL LOVE)
田島貴男(ORIGINAL LOVE) - 都合のいい身体 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
楽しげな世界に誘うシンバルの音とともにそっと歌声が現れた様。緩急をつけて歪んだギターの音が入って、派手なリズムになる。もちろん歌声も力強くなる。あとはもう楽しくないはずがない!というかの様に、たくさんキメまくっていった。
7.ここでキスして。 / 木村カエラ
木村カエラ - ここでキスして。 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
ピアノ、ベース、ドラムのシンプルな編成。それゆえに張りのある透き通った声が際立つ。どこから聴いても"木村カエラ"が歌っているとすぐわかるのは、凄い事だと感じた。
8.すべりだい / 三浦大知
三浦大知 (Daichi Miura) / すべりだい(椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
アップテンポなダンスナンバーになるかと思いきや、ややゆったりめのクラブミュージックに。打ち込みのバチっとしたリズムとイケメン声の相性が良い。サビではリズム隊がいなくなり、ふわっとした電子音で歌詞の良さが引き立った。
9.本能 / RHYMESTER
RHYMESTER - 本能 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
どんなヒップホップナンバーになるのか、個人的にはとても気になっていた曲。
本家の音源と絡めながら、披露されたリリック(あえて歌詞と言わない)は やはり『流行 / 椎名林檎』を思い出させ、椎名林檎へのリスペクトがふんだんに盛り込まれていた。
打ち込みのリズムに、ガラスの割れる音や水の音、破滅的な低音がクール。
10.罪と罰 / AI
AI - 罪と罰 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
オルガンの音、コーラス、ピアノ、歪ませたギターの音の重なりがとても ふくよかなブラックミュージックだと感じた。
サビの裏のコーラスは、罪悪感など感じさせない爽やかさだった。
それでいて間奏の低音フレーズと、オルガンのソロの合い方は痺れた。
井上陽水 - カーネーション (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
歌う様子は想像通りだったが、打ち込みが入ると思わなかった。フォークでクラシカルで演ると思っていたので、世代とジャンルを超えた表現に震えた。
私立恵比寿中学 - 自由へ道連れ(椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)
アイドルらしく、元気よく爽やかになっている。合いの手のコーラスもしっかりと曲の一部として機能しているのが格好良い。
13.NIPPON / LiSA
元気で格好良い女の子の良い所 詰めました!という様な曲。カバーアーティストが発表された時に、LiSAの力強い声は絶対ピッタリだと思っていた。
あまり原曲と変わらないロックな感じでいくかと思いきや、鍵盤がふんだんに使われるポップでロックな曲になった。
14.ありきたりな女 / 松たか子
女性ボーカルのお手本の様な、張りのあるのびやかな声。さすがミュージカル等でやってきただけあると感じる。クラシカルで細やかなリズムのストリングスとの相性はとても良い。
アルバムの最後にすっきりと終わる印象。
特設サイト